電動工具のバッテリーを充電器に差したら、赤と緑のランプが交互に点滅して「ピッピッピッ」と音が鳴った。バッテリー側のボタンを押すと、ランプが左右に交互に点滅する。
先日、私自身の現場用バッテリーで起きたことです。せっかく調べたので、同じ状態になった方の参考になればと思い、まとめておきます。
(※本記事は2026年9月時点の情報です。実際の判断は、お使いの機種の取扱説明書とメーカーの案内に従ってください)
充電器のランプが「赤と緑の交互点滅」+ブザー音
これは待機でも冷却でもなく、「充電できません」というはっきりしたエラー表示です。
マキタの取扱説明書では、バッテリーを挿入後に赤・緑の交互点滅を繰り返し、電子ブザーが約20秒鳴った場合、バッテリーの寿命、または端子まわりのゴミ詰まりで充電できない状態、と案内されています。
紛らわしいのが、他のランプ表示です。並べて整理すると、こうなります。
- 緑の点滅(電源を入れただけの状態)… 待機中。異常ではありません
- 赤の点灯 … 充電中
- 緑の点灯 … 充電完了
- 赤の点滅 … バッテリーが熱い/冷たいための待機。冷えれば自動で充電が始まります
- 赤と緑の交互点滅+ブザー … 充電不可のエラー
「赤の点滅」と「赤緑の交互点滅」は、慌てていると見分けがつきにくいところです。使った直後の熱いバッテリーなら、まず赤点滅のほうを疑ってください。しばらく置けば充電が始まります。
バッテリー側の「左2個・右2個の交互点滅」
型番の末尾に「B」が付くタイプのバッテリー(BL1860B、BL1830Bなど)には、残容量表示と自己故障診断の機能が付いています。
背面のボタンを押したときの表示は、通常は残量を4段階で示すものですが、左2個と右2個のランプが交互に点滅する場合は「バッテリーの異常」を知らせるサインです。取扱説明書にも、残容量表示とは別の項目として記載されています。
つまり、充電器側とバッテリー側の両方が「異常」と言っている状態です。この場合、端子の汚れだけが原因という可能性は下がります。
まず試すこと
順番に、これだけはやっておきます。
- 端子まわりの掃除 … バッテリーと充電器、両方の金属部分を乾いた布やブラシで。切粉やほこりが挟まっているだけのこともあります
- 温度を常温に戻す … おおむね10〜40℃。真夏の車内に置いていた、使い終わった直後で熱い、といった場合は冷めるのを待ちます
- 別のバッテリー・別の充電器で試す … どちら側の問題かの切り分けになります
これで直らなければ、バッテリーと充電器の両方を持って、メーカーの営業所か購入した販売店へ。診断は無料で受けられることが多いです。片方だけ持っていくと切り分けができないので、必ず両方持っていきます。
やらないほうがいいこと
ネットで調べると、「充電器に差したまま丸一日置くと復活する」「分解して直す」といった復活方法が出てきます。
気持ちは分かりますが、エラーが出ているリチウムイオン電池に無理をさせるのはおすすめしません。
エラー表示は、電池側の保護回路が「これ以上は危ない」と判断して出しているものです。それを迂回して充電を通そうとするのは、安全装置を外すのと同じ意味を持ちます。数千円をケチって現場や自宅を燃やしては、話になりません。
分解も同様です。リチウムイオン電池は内部で短絡すると急激に発熱します。
これが出たら、その場で使用中止
エラー表示より深刻なサインがあります。
- 膨らんでいる(工具に入りにくい、充電器に入りにくいのも初期サイン)
- 妙に熱い(使っていないのに熱を持っている)
- 変なにおいがする
- 液が漏れている、外装が割れている
- 落とした、水に濡らした
このどれかがあれば、充電も使用もせず、燃えるものから離れた場所に置いて、メーカーか販売店に相談してください。
製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2020年からの5年間に報告されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1860件で、そのうち約85%が火災に至っています。充電式電動工具も、事故の多い製品として名前が挙がっています。気温が上がる6〜8月に事故が増える傾向もあるそうです。
もし発火してしまったら——水はかけていいのか
※先にお断りしておきます。ここから書くのは「燃えているとき」の話です。
燃えていない電池を、念のために水につけておく——これは絶対にやらないでください。異常の出ているバッテリーでも同じです。
水が内部に入ると、そこで短絡(ショート)が起きて、かえって発火の原因になります。すぐに何も起きなくても、あとから発熱することがあります。さらに、水に濡れた電池はリサイクルの回収も受け付けてもらえなくなり、処分先に困ることになります。
水を使うのは、火が出てしまったあとの消火と冷却のときだけです。それまでは、乾いた状態のまま、燃えるものから離して保管してください。
「リチウムイオン電池の火に水をかけてはいけない、砂をかけろ」という話を聞いたことがあり、私もそう思い込んでいました。調べたところ、リチウムイオン電池については当てはまりませんでした。
公的機関は、どちらも「大量の水」を挙げています。
- 東京消防庁:火花や煙が激しい場合は近づかず、勢いが収まったら大量の水や消火器で消火する。その後、大量の水で温度を十分に下げ、水没させる
- NITE(製品評価技術基盤機構):火花が収まった後、大量の水を掛けることで消火できる。消火後は可能な限り水没させた状態で消防機関へ通報する
理由は、リチウムイオン電池の火が「熱暴走」だからです。
電池の内部が高温になると、正極の材料が分解して酸素を出しながら発熱が進みます。電池が自分で酸素を作ってしまうので、砂や粉末消火器で空気を遮断しても、内部の反応は止まりません。表面の炎が消えたのに、しばらくしてまた燃え出すのはこのためです。
止めるために必要なのは、酸素を断つことではなく冷やすこと。だから大量の水なのだそうです。
「水は危ない」という話は、リチウム金属を使った別の種類の電池や、通電中の電気火災の話が混ざって伝わったものだと思われます。
では砂が無意味かというと、そうではありません。火が収まったあとの後始末には使われます。NITEは、消火後の電池を不燃性の容器に入れて水や砂をかけ、蓋をする、という手順を挙げています。
実際にやることの順番
- 煙や火花が出ている最中は近寄らない。まず人を離す
- 119番通報。迷ったらこれが先です
- 勢いが収まってから、大量の水をかける
- 消火器で炎を抑えた場合も、そのあと必ず大量の水で冷やす。粉末消火器は炎は抑えられても、冷却はできません
- 可能なら、バケツや不燃性の容器に水没させたまま消防を待つ
そして現場の話でいえば、一番効くのは消し方より置き場所です。燃えるものの上や近くで充電しない。木くずの山の横で充電しない、というだけで、話がまったく変わってきます。
処分のしかた
寿命と判断されたバッテリーは、燃えないゴミには出せません。ゴミ収集車やごみ処理施設での火災原因になっています。
正しいルートは次のとおりです。
- JBRC(小型充電式電池のリサイクルを行う団体)の回収協力店に持ち込む … 電動工具店、家電量販店、ホームセンターなど。JBRCのサイトで協力店を検索できます
- 購入した販売店、メーカーの営業所に持ち込む … 電動工具メーカーは回収を行っています。新しいバッテリーを買うときに一緒に引き取ってもらうのが一番手間がありません
注意点として、膨張したもの、破損したもの、水に濡れたものはJBRCの回収対象外です。この場合は、メーカーか自治体に個別に相談してください。「対象外だから」と普通のゴミに混ぜてしまうのが、一番やってはいけないことです。
持ち込むまでの間は、端子部分にテープを貼って絶縁し、金属と一緒にしない場所で保管します。
まとめ
- 充電器の赤緑交互点滅+ブザーは「充電不可」のエラー。寿命かゴミ詰まり
- 赤の点滅だけなら温度待ち。冷めれば充電が始まる
- バッテリー側の左右交互点滅は、本体の自己診断が異常を検知したサイン
- まずは端子の掃除と常温に戻すこと。ダメなら両方持って営業所へ
- 無理な復活や分解はしない。保護回路が止めているものには理由がある
- 膨張・発熱・異臭があれば即使用中止
- 発火したら大量の水で冷やす。砂や粉末では内部の反応は止まらない。まず人を離して119番
- 処分はJBRC回収協力店か販売店へ。普通のゴミには絶対に出さない
道具は、使えなくなる前に必ず何かの合図を出します。おかしいと思ったら使わない。バッテリーに関しては、それが一番安いやり方だと思います。
Mr.Builder_K|株式会社山内工務店
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